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都市部にクマが出没した際の報道の在り方について(報道各社へのお願い)

2021年7月 発行

 近年、クマ類による都市部への侵入が多く発生しております。札幌市においては、2019年に続き先日も市街地内部にヒグマが侵入する事例が発生しました。2019年には、ヒグマの出没状況を詳細に伝えようとクマの映像を競って撮影しようとする状況が発生し、今回の事例では、一部の報道機関が車両でクマを追いかけて撮影する状況が放映されました。このような行為を通じて、人前に出没するクマの人馴れを加速させたり、人を避けようとするクマを追跡することによりパニック状態にさせたりする可能性が懸念されます。その結果、人身事故を誘発する危険性があります。

 報道各社には、以下の行動をお願いします。
1) 多人数による過剰な撮影行為はクマの人馴れ(警戒心が薄くなること)を急激に加速することがあります。クマを目撃しても、接近したり、追跡したりしないようにしてください。また、ヘリやドローンの低空飛行、車や徒歩による追跡、先回りしてクマが進む方向を塞ぐなど取材行為によってクマを興奮させる恐れのある行為は、人身事故発生の危険があることから厳に慎んでください。

2) 周辺住民の方には出没の事実を伝え、外出を止めるなど注意の呼びかけを行ってください。また、クマの観察や撮影を目的に決して接近したり追跡したりしないように伝えてください。

3) 現場で対応されている警察、行政、クマ防除隊等の活動の支障にならないように配慮し、指示がある場合にはそれに従ってください。

 

その上で、
4) 緊急時、逼迫した状況の場合には、出没情報があった地域の近隣住民に対して次の注意事項について繰り返し伝えてください。「クマとの突然の遭遇による不慮の事故発生を防止するため、クマが出没したり潜んでいたりする可能性のある緑地や茂みの付近では、ゴミ出し、通勤通学、ジョギングやサイクリングなどの日常的な営みについても、一時的に控えてください。またクマが隠れようとして逃げ込む可能性のある倉庫や車庫などの扉は閉じてください。」

 

 クマの分布域が拡大し、都市景観における緑地の連続性が高くなっている現在、従来考えられなかったような場所にまでクマが出没する可能性があります。これまで出没が見られなかった地域でも、十分に注意しておく必要があります。

 人身被害をなくし、人とクマが、生活圏を分けながら共生できる社会を目指して、それぞれの立場でできることをしていきましょう。

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