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設立趣意書PROSPECTUS

 我が国におけるヒグマ、ツキノワグマをめぐる情勢は、近年ますますその厳しさを 増しています。林地開発による生息地の分断・縮小や大面積にわたる人工林化による質の低下によって、生息環境の悪化が進行しています。一方で、毎年、クマによる農林業 被害が各地で発生し、時には人的被害も生じており、それに対して極端に駆除に偏った施策がとられ、狩猟と駆除によって地域個体群の衰退の危険性は高まりつつあると言わざるを得ません。

 こういった問題に少しでも対処し、人間とクマの共生、共存のために知恵を出し合い、それを行動に移していこうという動きやグループが、日本各所で見られるようになりました。それらは例えば、北海道の「ヒグマの会」、東北の「ツキノワグマの棲処の森を守る会」や「クマを語る集い」(元日本ツキノワグマ集会)、中部では「信州ツキノワグマ研究会」、関西では「東中国クマ集会」や「日本ツキノワグマ研究所」といったグループです。さらに同様の活動が、四国やほかの各地で芽生えつつあります。こういったグループは、それぞれの地域に根ざして 時には行政を巻き込みなが アクティブな活動を繰り広げております。しかしこのようなグループや活動は、あくまでもそれぞれの地域内に限定されたも のであり、互いに意見や情報を交換したり、連携をとって行動に移したりできる、連絡網や組織は何もありませんでした。そのため、広域での大量駆除問題や分布状況把握などの全国的な問題に十分対応できずにきました。

 

 一方、国際的な対応においても、たとえばアジアクロクマの「クマの胆」の売買問題や、東アジアクマ会議の日本開催の問題が投げかけられた時に、日本側の意見や考えを述べるきちんとした受け皿もありませんでした。これらは一部の人のボランティア的活動で辛うじて対応してきたに過ぎません。

 

 このように、現在の各地域ごとの単独の活動だけでは、国内の諸問題にも、国際的な問題にも十分対応できないことが明らかになってきました。これらの問題を解決するために共通の受け皿として、なんとか日本のクマ類にたずさわっている人達の連合組織のようなものができないだろうか、ということでたまたま1996年11月、埼玉県で開かれた国際食肉類シンポジウムに集まっていた全国のクマ関係者の話し合いによって、日本クマネットワークを誕生させることにしました。

 

 このネットワークは、日本における人間とクマとの共生に向けて考え、活動する人達の緩やかな連絡組織または連合であります。この認識のもとに、地域のクマをめぐる問題点や情報を交換しあい、一地域では対処できないような場合など、必要に応じて連携して社会に対して働きかけをおこない、人間とクマとのより良い関係を築いていくことを旨として活動をめざすものであります。さらには、クマ類の保全に関して日本を代表して、国際的な役割を果たして行けるものにしていきたいと願っております。

 

 このような趣旨で発足した、日本クマネットワークですが、上述のように活動の基本はあくまでも各地域の自主性に基づくものであり、地域ごとの活動を最大限尊重していきたいと思います。しかし、横の連絡網の整備とはいえ、組織として実体のあるものにし、社会的にも働きかける主張をきちんと構築していくためには、会員制の 方が管理・運営がしやすいと考え、個人会員制として出発することにしました。そしてそのスムースな運営のために簡単な規約を取り決めることになり、その中で会員制を示すためのニュースレターの発行、必要に応じて全国的な動きや、社会的な働きかけをしていくために、プロジェクト研究や、緊急動議の条項を設けることにしました。また緩やかで、開かれた組織としての機能を果たすためにホームページの開設や、会員どうしの自由な意見交換の場としてメーリングリストの活用も、その規約の中に織り込むことにしました。会員の皆様の積極的な参加を期待いたします。

 

日本クマネットワーク
代表(第1期)青井 俊樹

当会についてABOUT

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